第2章 新しい生き方
長「つきましてはこの長谷部・・・如何なる処罰が下ろうとも異存はございません」
は?
処罰、って・・・?
「今度の主はどんな罰を下すんだろうな」
「確か前の主は・・・アイツの時に三日間も部屋に閉じ込めてたっけ?」
「そもそも長谷部って主への忠誠心凄いのに、処罰とか・・・」
えぇっ?!
ちょ、ちょっと待って?!
こんのすけの話だと、刀剣男士たる皆様って神様と同じって聞いたけど?!
神様に私が処罰って・・・出来るわけなくない?!
っていうかそもそも、そこまで怒ってるわけじゃないし!
「なんで主は何も言わないんだ?」
「きっと主は、どんな罰を与えようかお考えなのだろう」
このおかしな空気をどうしたものかと長谷部さんを見つめ続ければ、そこかしこからヒソヒソといろんな言葉が聞こえてくる。
なんか私、凄いヤバイ人だと思われた?!
そりゃそうだよね・・・新参者なのにいきなり主ぶって・・・
っていうか、そこはまぁ、引き受けたからには主・・・なんだけどさ。
いまいちまだ実感ないっていうか。
とにかく、私のお披露目をと集まってくれているんだから、ここは何とかしないと。
そう思い、まだ畳に頭がつく勢いの姿勢でいる長谷部さんの前に自分も座り姿勢を正す。
『長谷部さん、顔を上げて下さい』
そう告げると長谷部さんは、ゆっくりと顔を上げていく。
『長谷部さん、私は別に怒ってるわけではありません。ただ、私が勝手に驚いたのにそこまで長谷部さんが怒るのを見ていられなかっただけです』
長「しかし・・・」
『なので、私の方こそ長谷部さんに心配させてしまってすみませんでした』
そう言ってから長谷部さんがさっきしたように、私も頭を下げて謝ると、それまでヒソヒソと聞こえていた声が一斉にどよめきへと変わる。
『私は今日ここに来たばかりで右も左も分かりません。だから明日からは、五虎退さんと同じように・・・いえ、それ以上に長谷部さんにいろいろとご指導頂きたいです』
長「じ・・・自分が、ですか?」
『もちろんです。だって長谷部さんは、私のお世話係だと言っていたじゃないですか』
長「では・・・その役目、喜んでお受け致します」
そう言った長谷部さんの目は、とても嬉しそうにキラキラとしていた。