第2章 新しい生活の前に
「そういや俺は合格通知が届いたが、デクお前はどうなんだ?」
……あ、かっちゃん!?
慌てて顔をあげると、黒いパーカーに黒いズボンをヤンキー風に着こなしてるかっちゃんが。
『かっちゃん、その前にこのノートの件について聞こうじゃない?!』
思いっきりいっちゃんのノートを突き出すと、かっちゃんはめんどくさそうに舌打ちをする。
「あぁ!?デクの癖に無駄な努力をしてるからだ」
『そんなことを言ってると、後でこのノートに負かされるよ!!』
いっちゃんは優しい。
だからこそ相手の繊細な所にも目がいくし、小さな癖も見抜いてしまう。
子供の頃から相手をじっと観察して覚える癖があったから。
そういう癖がちょっと怖い、と他の男の子に相談されたことがあったっけ。
でも、この癖は普通の癖じゃないけどきっと戦う上で役に立つと思う。
「はっ、そんな日が来るならいいんだがなぁ?どうよ、合格通知は」
その時、いっちゃんの顔が泣きそうに歪んでく。
慌てていっちゃんの背中を撫でた。
「……きて、ない、デス……」
『っ……、不合格が届いてないなら、これからだよ。ね?』
「でも、僕は一点も取れなかったんだ!!一点も……」
『ひ、筆記がいい点なら大丈夫だよ。とりあえず、落ち込んでてもしょうがないし、買い物して気分転換しよっか』
はっと鼻で笑ってるかっちゃんの足を思いっきり踏みつけて睨みつける。
「ってぇ!!何すんだ!?」
『ほんっとに余計なことしかしないんだから!』
私と、いつの間にかに顔を出してた真白ちゃんから睨まれるといっちゃんは軽く舌打ちをして歩き出す。
「おら、さっさと行くぞ」
だぁーれのせいで出発できなかったと思ってるんだか。
こういう所が嫌い!!!