第2章 新しい生活の前に
タイミングよくいっちゃんの家にたどり着いた。
『む、昔と何も変わってないね!』
慌てて話題変更。
「うん、そうだね。周りも引っ越した人はいないから全然変わってないよ」
『へ~懐かしいな~』
妙に重い空気が流れる。
ちらりといっちゃんのほうを見ると、目があって笑ってくれた。
完全に、気を使わせてる笑顔だ。
えーっと、何か話題話題……。
『そういえばいっちゃんってどんなヒーロースーツにするとか決めてるの?』
「うん、もちろん!小さい頃から考えてたんだよ!」
と言って、開いて見せてくれたのは焦げたノート。
『あれ?なんで焦げてるの……?』
「そ、それはかっちゃんが……」
『はぁぁぁぁ!?信じられない!!!』
ほんっとこういう所はヴィランも真っ青だよ!!
いっちゃんからノートを受け取って見てたけど、何十ページも情報をまとめてある。
新しいノートに書き換えるにしても、また何十日もやり直さなきゃいけない。
これがデータだったらバックアップがとれるし、無料でネット上に保存できるサイトだってある。
もちろん、非公開形式でね。
『いっちゃん、ノート形式もいいけどパソコンにまとめるのもよくない?』
「パソコンかぁ、いいね!!母さんに頼んでみよっかなぁ」
『買ってくれるといいねー!』
そういえば、お父さんに聞いたら会社で処分予定のパソコンを譲ってもらえないかな?
お父さんの会社はゲーム作成会社も運営してて、同じ建物内にあるんだよね。
そのせいでヒーローとのコラボゲームは必ずお父さんの会社が作ってるの!
確か、綺麗なグラフィックを作るためにパソコンの更新は結構早かったんじゃないっけ?
お父さんにメールで聞いてみよう。
今日は締切で忙しいから家に帰らない日もあるし。