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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


《アスランside》

「そ、っか…わかった」

「アッシュ…それは、その…いいよってこと?」

「…いいよって?」

「えっと、あー…付き合っても、いいよってこと…?」


付き合ってもって…そんな許可をわざわざ僕に…?そう思いかけて納得する。

そうか、クリスはユウコのことを本当に僕のペットだと思っているんだった。

「…許可なんかいらないよ、ペットじゃあるまいし」


しまった…!

僕は口を塞ぐ。
ペットじゃないとハッキリ言ってしまった。

慌ててクリスの方を見ると、真っ赤な顔をそのままにふふっと笑って

「そうだよね」

と言った。



「…え」

「ん?どうかした?」

「あ、いや…」


なんだ、クリスは分かっていたんだ。
本当はユウコがペットじゃないって。


「ねえ、…隣に行ってもいい?」

「隣?」

「…だめ?」

「べ、つにいいけど…」

何故かクリスは僕の隣にピッタリとくっついて座った。


「まさか…こんな展開になるなんて思ってもみなかったな…俺、早くユウコに伝えてやりたいよ!」

「………」

「ユウコも…こうなることを望んでくれてたからさ」


僕は俯いたままクリスの話を聞いていた。
心に渦巻く真っ黒い負の感情をなんとか逃がそうと必死だった。…自分の中にこんな感情があるなんて知らなかった。


「アッシュ?…さっきからどうしたの?俺たち付き合うことになったのに全然嬉しそうに見えないけど…」


嬉しい…?
クリスには申し訳ないけど、今の僕はそんな気持ちになんて微塵もなれない。いや…一生なれないだろう。


「僕さ…、いつキミに話そうかずっと悩んでたことがあったんだ」

「うん?」

「ユウコが…本当は僕のペットじゃないってこと」


「…………えっ…?」


「でもキミは最初からわかっていたんだね。僕にはクリスがユウコを本当に僕のペットだと思っているようにしか見えなかったから驚いた」

「…どう、いう」

クリスが小声で何かを言ったけど、僕は言葉を止められなかった。


「ユウコを好きになったのなら、早くそう言ってくれたら良かったのに…!」

わかってる…僕の自分勝手な感情をクリスにぶつけたってどうにもならない。

わかってる、わかってるんだ…
そんなこと僕が1番わかってる…
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