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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


《アスランside》

「…あぁ、びっくりした…」

僕は眠るユウコの頭を撫でる。
そこで僕はユウコの頬に涙のあとを見つけた。


泣いていたの…ひとりで?

僕の知らないところで泣かれたら、僕が涙を拭ってあげられない…なんだか少し複雑な気持ちが芽生えた。


涙のあとを指でつぅーっと撫でる。


「ユウコ、どうして泣いてたの?もう悲しくない…?」

『……ぅ…』

ユウコが無意識に僕の手に頬をすり寄せた。


「…かわいいなあ…」


さっきまであんなに苦しかったのが嘘のように心が解けていく。

僕はいつからユウコに対してこんな気持ちを抱くようになったんだろう。好き、大好き、愛してる…ユウコのことは昔からずっと特別に想ってきたけど、そんな自分の中の常識をどんどん塗り替えるように想いが募っていく。

きっといつか形容する言葉すら見つからないほどに想ってしまうんだろう。


「キミは知らないんだよね…僕がこんなにもキミを想っていること」

起きている時に言えないなんて、僕は本当に臆病者だ。ユウコとの関係が壊れてしまったらと考えてしまう…ユウコを失う以上に怖いことなんて、僕にはないから。


「ねえユウコ…僕たちは友達…?」

昨日の夜のユウコの言葉を思い出す。

「キミが自分のことをペットだと思ってしまうのはどうして…僕のせい?」

僕が着けてしまった首輪…

どうしようもなかった。
あの場で僕には選択肢がなかった。
でも、あの日を後悔しない日なんて僕には一生訪れないと思う。


「…ごめんね、ユウコ…」


僕はそう呟きながらユウコの首にキスをした。

フッと顔を離したその時、ユウコの胸のボタンにキラリと光る糸のようなものを見つけた。

なんだろう?

指を伸ばしてみると、それはボタンに絡みついていた。引っ張ってみても取れず、少し悩んで僕はそのボタンを外した。スルッと長い糸のようなものを眺める。

…髪の毛?
この色はユウコのじゃないし、長さ的にも僕のじゃない。

『……っん、』

「…あ、ユウコ…」

『……クリ、…ス』

「っ!?…」


今、クリス…って言った?

まさか…この髪の毛は、クリスの…?

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