第1章 はじまり
「なんかここの奴らは、呑気だな。本当に戦ってるのか?」
「あぁ、強い。舐めてると痛い目に合うぞ」
一瞬、長谷部が研ぎ澄まされた刀のような、冷たく鋭い視線を同田貫に向ける。
「ははっ、いいねぇ。そりゃ楽しみだ」
ぞくぞくした感覚を受け、同田貫が嬉しそうに笑う。
「はいはい。そんな所で殺気立たないでくれるかい?主くんのお出ましだよ」
燭台切がぱんぱんと手を叩きながら、二人の間に入る。二人が落ち着いたところ見計らったように襖が開き男が一人現れる。
「主、おかえりなさい」
「おかえり、大将」
「おかえりなさい、主様」
広間のあちこちから皆の嬉しそうな声が上がる。
「あぁ、ただいま」
にこりと笑うと主と呼ばれる男は、皆の間を通り前にいる長谷部達の所までゆっくりと歩いてきた。