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【血界戦線】歌声は遠くに渡りけり

第24章 “Long time no see.”



*************

──三日後──

ライブラメンバーの姿は、ビラに記載してあった会場──以前クラウスがリングに上がった地下闘技場──元“e-den(エデン)”近くの建物にあった。

闘技場へと繋がる出入り口に警備の姿は無く、クラウスをはじめライブラメンバーらを困惑させた。
レオナルドの眼で念入りに確認しても、呪術障壁が張られている様子もない。
明らかな罠であるからそこまでする必要がないのだろうか。
あまりにも無防備な会場入り口の様子に、皆首をひねる。

「誰でも入れそうな感じだな」
「チェイン、中の様子は?」

先行して姿を消しつつ会場内に潜入していたチェインにクラウスが尋ねると、微かなノイズの後にチェインの声が届いた。

『すごい人です。満員御礼ですね。中にも特にガードマンの存在は確認できません。“特等席”も空席です。──幻術を使われていたら分かりませんが』
「了解した。レオにも会場内を確認させたら、我々も会場に向かう。君は中で待機していてくれ」
『分かりました』

チェインとの通信を終えたクラウスがレオナルドに視線を向けると、レオナルドは頷いて眼を青く輝かせ始めた。

「──うわ…これはすごい人数ですね……」
「イアンのオーラは見えるか?」

レオナルドはスティーブンの問いに首を振る。

「人数が多すぎて、ちょっとすぐには……」
「そうか…仕方がない。“特等席”はどうなっているかね?」

クラウスの言う“特等席”とは、会場全体を上から見下ろせるオーナー専用の小部屋の事だ。
イアンがどこに潜むつもりかは分からないが、会場の様子を一望できるその部屋をそのままにしておくとは考えにくい。
以前レオナルドもこの闘技場に足を踏み入れたこともあって、おおよその位置は把握していた。

「誰もいませんね。こっちが仕掛けたもの以外、何か変わった事も見受けられません」

レオナルドの報告に、スティーブンは肩をすくめた。

「逆に怖いな。そこまで無防備だと。それとも僕らが会場に事前にトラップを張っていた事に気付いたかな」
「そうだな……向こうも最大限の警戒をしているだろうからな。では手筈通り、スティーブンとレオナルドは共に上階の観客席へ。ザップ、ツェッドは別れて出入口付近にて待機。K・Kとアメリアは“特等席”にて待機。皆が位置についたら私も入場しよう」
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