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【イケメン戦国】ー悠久の時の中でー

第1章 タイムスリップ⁈


しばらくして、私はお礼を言う機会を得た。

下校中、一人で歩いている松平の背中を見かけ、
お礼を言おうと距離を詰めた。
しかし、彼はスッと細い道に入ってしまう。
(あれ?松平の家って、ここ曲がらないよね?)

本当なら、別の機会を待ったほうがいい。
でも、彼はあまり喋らないのに、なぜか下校時は男子集団に囲まれている。
一人で歩いていることは、滅多にない。

だから、私はそっと後を追った。

松平は、迷わず工場の跡地に入っていく。
一瞬迷ったけれど、私も中に入った。

物陰に隠れて、そっと松平を見ると、彼は
腰を下ろして、何かを撫でていた。
それは、可愛らしく喉を鳴らしている。

(っ、こねこ⁈)

可愛らしい、小さな仔猫が数匹、彼の足元に集まっている。
そして、仔猫を撫でる松平の表情を見たとき。

ーーードクッッッ・・・

心臓が跳ねた。

その目も、口も、柔らかく弧を描いて。
綺麗な微笑みだった。

その笑顔から、目が離せなくなって。

ーーーニャア!

急に足元から鳴き声が聞こえて、違う意味で心臓が跳ねた。
いつのまにか、私の足元にも一匹、仔猫が近づいてきていた。

「誰かいるの?」

そう呼びかけられて、私は観念して物陰から出た。
足に体をすりつける仔猫をそっと抱き上げて、松平を見る。

「あの、ごめんなさい、、、」

謝ると、彼はため息をついて、鞄を肩にかけなおした。

「、、、帰るよ」

促されて、先に歩き出した松平の後に続いた。
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