第1章 タイムスリップ⁈
そして、ボールを追いかけてきた子とぶつかってしまった。
バラバラと音を立てて、ボールが地面にバウンドする。
「ごめんね」
(今の、ぶつからなかったら打ててたよね)
そう思った私は、謝りながら落ちたボールを拾い直す。
その子は、自分のボールを拾って、コートに戻っていく。
(一言くらい、謝って欲しかったけど、、、)
そんなこと、思っても仕方がない。
目線を下げた時、頭の上から声が聞こえた。
「待てよ」
それが、松平だった。
いつもつまらなさそうにグラウンドの隅っこにいるのに、
こっちまで出てきて。
「謝れば?」
相変わらずめんどくさそうに、でもしっかりと彼女を見て。
嬉しかった。
「、、、ごめん」
そう小さな声で呟いた後、彼女はボールを拾ってくれた。
松平にお礼を言おうと思ったけれど、彼はいつもの場所に戻ってしまっていた。
(また、別の時に。)
私はそう決めて、拾ったボールをかごになおしにいった。