第2章 最悪の再会
私の部屋には書類の山が幾つもある。
下級構成員には見せられない物、重要機密の物、首領からの直属の物等がある為、厳重な鍵がかかっている。
指紋、4桁の暗証番号、最後に鍵という順番でドアを開ける。
鍵は自分の物、1つ分しか作っていない。
だが、誰かが侵入した形跡があった。
決定的な証拠としてはピッキングの跡である。
上手くやっているのだが、どんなに天才的な技術を持っていても跡はの残ってしまうものだ。
指紋はどこかで私が触った物を物色。
暗証番号は盗み見たか、これも指紋をボタンから浮き出して入力したのだろう。
冷静になって部屋を見渡す。
書類の山を見渡すが、1枚たりとも動かされた様子はない。
仮に盗まれたとしても……内容はほぼ頭の中にインプットされているので意味は無い。
内容を忘れたとしても、誰からどんな内容の物を貰ったのかを確認して回れば何とかなるだろう。
仕事をする為だけの部屋なので、プライベートの私物を持ち込むことも滅多にない。
書類を盗む以外に目的があるのか___?
この部屋には金目当ての物など何一つ無いと言うのに…
この厳重な警備をかいくぐり、複雑な鍵穴のピッキング出来る相手と言えば心当たりは1人しかいない。
ふとデスクに何かが添えられていることに気づく。
それは1枚の手紙であった。
勿論差出人は太宰治である。
丁寧に糊付けされている封をペーパーナイフ切り、中を開いてみた。
内容には目を疑った。