第2章 最悪の再会
暫くして坂口安吾がスパイだということを知り、人を殺さないと言われている太宰の親友__織田作之助が森さんの仕向けた通りに亡くなった。
太宰はさぞ辛かろう_____
坂口安吾とと関わった事は1度もないのだが、織田作之助には関わりがあった。
猫探しを手伝った事が1度だけ。
私が仕事を終え、ポートマフィアの周りをプラプラしている時に何かを一生懸命に探している人を見て声をかけたのだ。
直ぐに打ち解けることができ、後にポートマフィア内ですれ違えば挨拶する仲ぐらいにはなっていた。織田作はとてもマフィアに居るには勿体ないぐらいの優しい人柄であった。
猫探しを終えたあとは一緒に飲みにも行った。今思うと不思議な出会いと体験だった。
バーでは酔ってしまった為、生憎記憶はない。
さぞ嬉しかったのだろう。織田作との出会いに。あの時はつい、飲みすぎてしまったようだ。
きっと酔っていながら、楽しい時間を過ごしたことだろう。
残された太宰の気持ちを思うと断腸の思いであった。
同時に仕向けたポートマフィアの首領、森さんがとても許せなかった。今でもなお許せぬ。
此処から逃げ出せたらどんなに楽であろうか____
「おい、海…目腫れてんぞ。大丈夫か?」
廊下ですれ違う中也にはよく心配されていたが、この人だって結局は人の死を何とも思っていないのだろうと思うと1人腹が立った。
「何でもない、大丈夫だから…これ以上話しかけないで!」
「あっ!海おい!!」
怒りを含んだ中也の声を無視して、自室へ駆け戻った。