第2章 最悪の再会
ポートマフィアに所属していた頃の私は色恋、友人など人間関係にはあまり興味がなかった。
実際に、自分から話しかける事は業務連絡以外なかったと思う。
私にやれる仕事は書類等が9割だ。残りの1割が潜入捜査や囮の類であった。
戦闘要員としては駆り出されない為、顔が割れていないからだ。
《 戦闘には向いていない 》
自分でも分かっていたし、周りからも言われていないが……
すれ違う人の目がそう告げていた。
ある日の潜入捜査のことで私の世界が大きく変わった。
裏路地にある小さなバーのアルバイトとして潜入捜査していた私はそこで人の温かさを知った。
初めてのアルバイト。
接客は勿論、掃除や洗い、客の話し相手までも完璧にこなしてみせた。
相手した客は酔っ払いが半分以上だったが、外の色々な話を聞けたのはとても興味深かった。
外の世界を見てみたい__________
何時しかそう…
外の世界に思いを馳せていた。
ポートマフィアでは人殺しや拷問などの日常で私の世界はモノクロにしか見えず、どこか苦しかった。何時かは真っ黒に染まる予定だったのだ。
たった数週間程度の潜入捜査だったのだが、私には新鮮に感じた事を今でも身に覚えている。ごく普通の暮らし。できたらああなのだろうな、と。
結局は店のオーナーが裏でなにか手を引いており、我々が始末して任務遂行を果たした。
その日から、私は黒に染まりきることが出来なくなった。