第3章 青色~青峰~
とにかく一応、役目は果たしたし。
美術室に戻って、さっきと同じ台詞で先生に報告してやろう。
(こんな奴、もう知らない)
そうは思いつつも苛々していた私は、つい、
「それじゃ、ごゆっくり」
そんな捨て台詞を吐いてしまって。
途端、
「ちっ、くそっ!」
「ぇ?」
舌打ちするような、何か苦々しそうな、そんな声が聞こえたような…と思った時には、すぐ目の前に何かが降ってきて。
「……ひ、ゃっ!?」
私は反射的に後退ろうとして…そのまま仰け反ってしまった。
「ば…っ、あぶねえ!」
「~~~~~っ!」
咄嗟に、ぎゅ、と目を閉じた私は、そのまま屋上の床に後頭部直撃…のはずが、
「…っに、やってんだよ、ったく」
「???」
「マジ、焦った」
「……………」
何が起きたか、状況把握が追いつかない。
私は床に倒れるはず、で?
それで?
(あれ?)
でも、何処にもぶつかってない。
何処も痛くないし、倒れてもない。
私は立ったままで、だけど…だけ、ど?
誰かが、私を支えてるっていうより。
これって……。
「ひゃぁっ!?」
抱きしめられてる。
何か、がっちり頭をホールドされてるみたいに動けない。
その状況にやっと気づいた私は、それが誰かもすぐに悟った。
「ゃだっ、はなしっ」
「おい、暴れんな!」
「やだってば!」
「こ…の、バカ!そうじゃなくても鈍クセーくせに、んな暴れたら、またコケんだろーが!」
さっきまでの、距離を置いたところからじゃない、頭のすぐ上から思いきり怒鳴る…っていうより、叱られるみたいに言われて、私の身体はぴた、と停止した。