第3章 青色~青峰~
「誰だったのかな、あの子…って、あ!名札見れば良かった!」
そしたら名前だけでも分かったのに、なんて思っても、後の祭り。
私は…あの子の言葉を鵜呑みにするわけじゃないけど、とりあえず屋上に行ってみることにした。
そういえば屋上って、勝手に出れるんだっけ?
って思いながら上がった階段の先、ドアノブを回したら。
「あ……っ」
呆気なく、屋上に通じるドアが開いた。
(良いのかな、これって?)
とか、私が考えてもしょうがない。
外に出るとちょっと風が強くて、だけど、校舎の周りが一望できるそこは、何だか気持ち良かった。
今日は天気も良くて、いつもより空が蒼くて高く感じる。
「気持ち良いなぁ……」
んー、なんて、思わず伸びをしちゃったりしながら、私は目的を思い出して屋上を見渡した…けど。
「誰もいない、よね?」
一応、捜しに来たんだけど。
でも、出てきて欲しくないような……。
複雑な気分で、私はとりあえず屋上を一周してみることにした。
(これでいなかったら、戻れば良いかな)
そう思いながら、一応…念の為。
「青峰くん…いる?」
とか、口にしてみる。
(いない…よね?)
いなくて良いけど…とか思っちゃう私は、やっぱりまだ駄目…なんだろうな。
けど、返事は返らない。
ってことは。
「いないよね、やっぱ」
任務完了、じゃないけど、私がドアに戻ることにした…その時。
「俺なら、ここにいるぜ?」
「っ!!!」
歩きかけていたそのままで、私は固まった。
首だけ巡らせて周りを見ても、相変わらず誰もいない…っていうより。
(まさか上…から…?)
屋上の床よりも、ドアの分だけ高くできてるそこから声は降ってきた…気がする。
見てみたら、ドア脇の壁には、鉄製の梯子が設置されてて。
(やっぱり、この上からだ……)
私は上を見上げながら…っていっても、そこにいる誰かさんの姿なんて全然見えなかったけど(見えなくたって別に良いし)、構わずに言うことだけ言おうとした…よりも早く。
「気持ち良いぜ。お前も上がって来いよ」
そんなことをさらっと言う声が、私の言葉を遮った。