第3章 青色~青峰~
-○○side-
今日はこれから選択授業の時間。
一年生は音楽、美術、書道の中から一つを選択することになってる。
私は音楽希望だったんだけど、定員オーバーになっちゃって、抽選の結果、美術を選択することになった。
いろんな楽器とかに触ってみたかったんだけど、こればっかりはしょうがない。
それに、新しく出来た友達の中に美術選択の子もいるし、頑張ってみようかな、って思う。
絵はちょっと…苦手だったりするんだけど。
ちなみに選択授業は3クラス合同で行われる。
3種類の授業に分散するから3クラス合同、なのかは知らないけど。
他のクラスと一緒の授業って、今でもちょっと緊張する。
でも最初に比べれば、他のクラスの子とも友達になれたりして、色々慣れてきた気がする。
それでもやっぱり普段と違うっていうのは、何度経験しても、ちょっと緊張しちゃう自分がいる。
子供の頃からの人見知りも引っ込み思案も、大分マシになったかな、とは思うけど、他の子より新しい環境とか雰囲気とかに馴染むのに時間が掛かっちゃうのは、やっぱりまだまだ、ってことなのかな。
なんて、そんなことを考えてる間にも今日の選択授業が始まる。
今日は静物画のデッサン。
好きな場所に座って、美術室の中央にある彫像を描く。
にしても、やっぱり……。
(あー、やっぱり絵って苦手かも……)
上手く描ける人って、本当に羨ましい。
でもちゃんと描かないと、成績が……。
自分の絵心のなさにちょっと心折れそうになりつつ、何とか気を取り直していると。
「あら?青峰くんは今日もお休み?」
みんなの作品を見てまわりながら、美術の先生が、そんなことを言い出した。
(青峰…くん?)
青峰くんて『あの青峰くん』…なのかな。
それにしても、あの青峰くんが美術選択とか、想像が……。
って、音楽とか書道も美妙だけど。
いつの間にか、ぼんやりそんなことを考えてた私は、打ち払うように首を振った。
(私には関係ないもん)
あの青峰だろうと、どの青峰だろうと、私は知らないし、関係ない。
忘れるって、決めたんだし。
それなのに。
「△△さん。今日あなた日直だったわね」
「あ、はい」
「じゃあ、悪いんだけど、青峰くんを捜してきてくれない?」
「はい?」