第3章 青色~青峰~
だから…ってわけじゃない。
それだけが理由じゃねえが、俺は勧誘を受けてた強豪校の中から、桐皇を選んだ。
進路指導の連中は他の強豪校を推してきて、どうでも良いと思ってた俺は、本当ならそのままそこへ行くはずだったが、最後の最後で、俺は桐皇に入学を決めた。
あいつが桐皇を受験するってのは、俺は知ってた。
△△が覚えてるかは知らないが、桐皇学園の願書が入った封筒を抱きしめた△△と、俺はすれ違ったことがある。
あの偶然には、自分でも驚いたもんだ。
別に、それが桐皇を選んだ原因の全部じゃないし、他にも理由はあったが、あいつのことが理由の中の一つだったかもしれないってのは、否定しない。
何処でも良いとしか思えない、興味ゼロの強豪校なんかに行くよりは、桐皇に行ってみっかな…って、最後にはそんな気になった。
それに、幸い桐皇からも勧誘は来てたから、受験も余裕だったしな(特待ってやつだ)。
そして、その入学式。
俺はすぐに、△△を見つけた。
クラスが違うせいか距離もあったし、女子の中でも、ちょい背が低めなあいつは人波に埋もれかけてたが、それでも俺の目は、すぐにあいつを捜し当てた。
けど、あいつの方も、俺を見つけちまったらしい(ま、俺は結構目立つしな)。
とりあえず知らん顔してよそ見してた(フリだけど)俺に、あいつは信じられないって顔して、目を見開いてやがった。
見るからに、嫌なもんを見つけちまった…って顔だったな。
まあ、ああいう反応だろうなってのは、分かってたけど…な……。