第2章 水色~黒子~
試合が終わって、みんなを迎えた私は、その向こうで、テツくんがベンチに引き揚げてくのを見ていた。
火神くんに支えられながら戻ってくテツくんは、とっくに限界を超えちゃってる。
そのまま奥に引き揚げるかと思った私の視線の先で、テツくんは火神くんの肩を借りながらも、あの子のところへ行くのが見えた。
勝利を喜ぶ仲間に囲まれながら、テツくんは泣き出したあの子に拳を向けて、あの子も、それに応えて、拳を合わせた。
(テツくん……)
あんなこと、中学の頃は一度もなかった。
どんな試合の後だって、マネージャーの私に拳を合わせようとしてくれた人はいなかったし、テツくんも、もちろん一度もなかった。
だけど、あの子には、そうなんだ……。
(もう…やだなぁ……)
最後まで、見せつけないでよ。
私は、目の奥が熱くなるのが分かって、上を向いた。
「もうっ!私だって、もっと良い人、見つけてやるんだからね!」
テツくんなんかより、ずっとずっと良い男、見つけるんだから!
まだ苦しいから、テツくんとあの子を祝福はできないけど。
でも…誠凛高校、一回戦突破、おめでとう。
私達に勝ったんだから、この先、簡単に負けたら許さないんだからね!
応援…してるから……。