第2章 水色~黒子~
至近距離にいる恥ずかしさも忘れて、ぼんやりそんなことを考えてたら(だってこんな風に誰かに庇ってもらったことなんて、今までなかったから、一瞬、頭も身体も固まっちゃったんだもん)、黒子くんの更に上から本が……。
「黒子くん、あぶな…っ…!」
「え?」
咄嗟に声を上げた私に、黒子くんは驚きながらもすぐに反応して(しかも私にもぶつからないように椅子も押してくれて)、落ちてきた数冊を、ひょい、と避けた。
「ありがとうございます」
「え…うん」
なんて思わず頷いてしまった私は。
(って、そうじゃないでしょ、私!)
思いっきり心の中で自分に突っ込んだ。
だって助けてもらったのって、そもそも私だし。
それなのに自分は何も言えてなくて。
逆に黒子くんにお礼を言われるとか、それっておかしい…っていうより、私、ダメすぎ!
だから私もちゃんと言わなくちゃって、思うのに。
またも黒子くんが、
「すみません。僕の背が低いせいで」
「え……」
まさかそう来ると思わなくて、私はまた固まってしまった。
(えっと、これってもしかして……)
もしかして…もしかしなくても、黒子くんて、自分の身長にコンプレックスがあったりするのかな。
もしそうだとしたら、女子の平均より背の低い私としては、その気持ちも分からなくはないけど。
でも黒子くんくらいの身長なら、特に低いってほどじゃないんじゃないのかな、って思った、けど。