第2章 水色~黒子~
そしたら今度は。
「本当ですか? 顔、赤いですけど」
(誰のせいよ!?)
言いたい。
思いっきり言い返したかったけど。
「な、何でもないから!」
だって、本当は黒子くんをちら見する予定だったのに、いきなり振り返られてちょっとパニックなんです、なんて、言えるわけない。
何でもないよ、って、そう言うしかないじゃない。
顔が赤いのは…何かすごく暑いのは、びっくりしちゃったせいで。
他に理由なんて…別に……。
(別に…なんにも…ないもん)
小学校の頃から比べると、私の人見知りも随分マシになった…と思う。
クラスの女子とも仲良くなれたし(男子はちょっと…まだ苦手だったりするんだけど)、人見知り発動(?)で、この人ちょっと苦手かも…って人とも、これは必要に応じて…だけど、どうにか喋れるようになったし、そうしなきゃって頑張ってる…つもり。
そういえば黒子くんとは、最初から普通に喋れた気がする。
最初っていっても、同じ図書委員に決まった時、ほんのちょっと喋っただけだったけど。
でも私が『この人ちょっとダメかも』って感じる時は、喋る以前に、傍にいるだけで苦手だなって瞬間的に思っちゃうこともある。
そんなの良くないと思うのに、これだけはなかなか直らない。
苦手だって感じる相手とも喋るように頑張れても、苦手意識を持ってしまうのは今もなくせない。
まるで身体が勝手に電波を受信するみたいに、初めて会う相手に、勝手に苦手意識を持ってしまう。
もちろん、そうじゃない相手もたくさんいるけど、その人を前にした途端『ダメ』って感じたら、そのまま本当に苦手になる、というか、そういう先入観を持ってしまったせいで、尚更その人が苦手になっちゃうのかもしれない。
向こうにしてみれば、勝手に先入観持たれて、勝手に苦手に思われて…なんて、すごく失礼な話なんだろうな、って思う。
だからこんなのなくしたいのに、まだ、なくならない。
(やだなあ……)
何でこんななんだろ、って思いながら天井を見上げたら。
「ひゃあああああっ!?」
天井が…黒子くんだった。