第37章 進歩
2人は黙々と散歩を続ける
木兎「………って!なんで無言なの!怖いんだけど!」
無言にしびれを切らした木兎は立ち止まり私の手を握る
「あっ、えっと…これは…」
木兎「いいじゃん、誰も見てないし!」
「そういう…問題じゃ…」
手を握られた私は照れるというより少し疲れた感じで
木兎「てかなんかテンション低い!なんかあった?さっきも自主練来なかったしさ〜」
うっすらと見える木兎は口を尖らせてそう言えば
「あ…それは…えっと…疲れちゃって…」
木兎「んじゃーちょっと座る?はい、こっちこっち〜」
そういった木兎は私の手を引いて少し歩いた先にあるベンチに座らせる
木兎「疲れたんなら、膝枕?ってやつしてもいーよ!」
私の顔を見た木兎は自分の太ももをパンパンっと叩いてそう言えば
「え…木兎さんの太もも…ですか?笑 固そう…」
木兎「そーお?寝心地いいと思うんだけどな〜!」
そんなことを言っている木兎をキョトンとした顔で見る
木兎「————で、どーした?なんか悩んでんでだろ?」
「えっ…」
木兎の透き通った目、なんの曇りのない目に私は目をそらせなかった
「な、なんで…ですか?」
木兎「なんで?ってそりゃ〜、好きなやつの事なんて一発顔見てりゃすぐわかんだろ」
「エ、エスパーですね、木兎さん…すごい(この人はなんていうか…木兎さんには嘘なんてつけないかも…一瞬で見破りそう)」
木兎「だろ!?だろ!?わっはははは」
すごいと褒められた木兎はニコニコと口を大きく開けて笑えば、自分の過去を木兎にゆっくりと話していく
「—————それで、この持病のせいで昨日もクロと…」
木兎「お前はやっぱすげー奴だな」
「えっ!?私の話きいてまし————」