▽▲ 大人ノ玩具箱 ▲▽【イケメン戦国】(R18)
第14章 ▲月華美人▽ *明智光秀* -伍-
安土城の城内を、ハナの姿がひた走る。
城門へ駆けた――いない。
門兵へも尋ねるが、まだ外へはでていないと確認する。
軍議が行われる大広間へも駆けていく――やはり、いない。
後片付けをしていた女中が、呆気に取られてハナを見ていた。
書庫――いない。
庭の池――いるはずもない、まだ月は出ていない。
天主閣――城の主の姿すらない。
城のあちこちを探しまわった。
門へも、もう一度行ってみた。
残すところはあと一つ。。
ハナは、光秀の政務室の前に立った。
「――っはぁ、はぁ…」
上がった呼吸を、整える。
「…光秀、さん…」
――カタンッ
部屋の中から、微かな物音がした。
ハナは胸に手を当て、静かにひとつ、深呼吸をした。
「入っても、いいですか?」
尋ねるが、返答はない。
しかし、拒絶の言葉も無い。
ハナはそっと、障子へ手を掛けた。
すっと、障子を開く。
――開いた先に、白銀の髪の、その人がいた。