第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
(やっべー!!シャンクスまじかっこいいんだけど!!)
シャンクスが内心少し動揺している中で、ユーリはそんなことを考えていた。
まさかこの時、自分がこの場に立っていることがどれだけ凄いことなのか、知るはずもなかった。
(いやしかし、首の怪我の痛みが妙にリアルなんだが。夢なんだよな?これは夢でいいんだよな?……っは!?なんか原作と微妙に違う流れてなってるけど、ちゃんとシャンクスがルフィを助けるシーンは見れるんだろうな!?)
ユーリは暫く惚けたようにシャンクスを見ていたが、その表情は次第に変化していく。
そもそも海の真ん中で起きる出来事をどうやって見ればいいのか分からない。
夢なら空でも飛べそうなのだが、生憎そんな気配もない。
なんて不便な夢なんだ。
これはもう自分でボート使って近くまで行くしかないのか?
いや、そこまでして見に行くのも流石の私も気が引ける。
シャンクスの大事な利き腕を失うシーンを見る為とは言え、これでは人の不幸を喜んでいるようなものではないか。
それがたとえ夢だとしても。
「おーい、嬢ちゃん。大丈夫か?」
ユーリが今後の展開を悶々と考え込んでいると、何時の間にかシャンクスから顔を覗き込まれていた。
「は、はひっ!」
突然目の前に広がったイケメンの顔に、ユーリは慌てて返事をしたが思いっきり噛んでしまった。
「何だおまえ、今更ビビってるのか?」
ユーリが内心で己の失態を嘆いていると、シャンクスが微妙に勘違いをしてくれた。
「い、いえとんでもない!寧ろ逢えて嬉しいです!!」
「は?何が?」
ユーリの支離滅裂な言葉に、困惑した表情のシャンクス。
ユーリは再び犯した己の失態に、その場で膝から崩れ落ちた。