第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
ルフィがゴムゴムの実を食べて皆んなが騒いでいる時、ふと何か違和感を感じた。
微かに聞こえてきた少女のような声。
シャンクスは次第に落ち着きを取り戻したルフィを置いて、ほぼ無意識に酒場の外に出た。
「…あ?何だ?謝りにでも来たのか?」
外に出てみると、先ほどの山賊達がまだそこにいた。
そして視線を少し彷徨わせると、ルフィと同じ年くらいの女の子が捕まっているのが見えた。
山賊の言葉を綺麗に無視したシャンクスは首を傾げる。
シャンクスはこの村に1年ほどいるが、ルフィくらいの女の子を見たことは一度もなかった。
何処からか迷いこんで来たのか、それとも元々山賊達に捕まっていたのか。
何とか逃れようと暴れている様子を見ると、あまりいい状況ではないのだろう。
「てめぇ、何か言ったらどうだ!?」
そしてシャンクスが物思いに耽っていると、仲間の1人から向けられた銃口。
そして女の子からの視線。
……なぜだろうか、彼女から向けられた視線が、すげぇキラキラしてるんだが。
「いい大人が、女の子相手に何やってるんだ?」
シャンクスは向けられた銃口よりも、女の子の方が気になった。
まぁ本気をだせばここにいる奴ら全員瞬殺できるので、銃口なんてどうでもいいのだが。
シャンクスは腕を組み、女の子から視線を外すと頭へと向ける。
取りあえずこの状況をどうにかするしかない。
そしてそんなシャンクスの言葉を山賊は鼻で笑うと、てめぇには関係ないことだと言ってきた。
予想通り過ぎるその言葉に、シャンクスは口の端を僅かに上げる。
聞かなくても、どうせオークションにでも売るつもりなのは察しがついていた。
「へぇ、そう。じゃぁおれが何をしようが関係ねェな?」
シャンクスがそう言った瞬間、微かに空気が揺れる。
気が付けば、数人の山賊達が倒れた。