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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第2章 中編 古代都市シャンドラ



正気に戻ったユーリの視界に入ったのは、地面に落ちていくシャンクス。

彼女は慌てて彼に近づき、抱きしめて舞い降りた。

「シャ、シャンクス…ごめん…私…私……!」

地面に降りると言葉を詰まらせながら謝罪を繰り返すユーリ。

地面に横渡っている彼を抱き起こすが、どこか様子がおかしい。

「おまえのせいじゃないだろう?全てはおれが招いた結末だ」

シャンクスはユーリの頬に手を当ててそっと笑った。

ユーリの瞳から流れ落ちる液体は、本当に涙のようだ。

「すまない…ポーネグリフを…」

シャンクスのその言葉に、ハッとしたユーリは慌ててポーネグリフを彼に渡す。

虹色に輝くその石を彼は暫く見ていたが、不意に彼の右手にヒビが入った。

右手だけじゃない、頬、首、足と、まるでガラスが割れるかのように亀裂が入った身体。

その様子を見たユーリは、目を見張った。







「そういえば、鐘が鳴ってないな」

己の身体に異変が起きているにも関わらず、シャンクスは至って冷静だった。

シャンクスの肩を支えているユーリの手が震える。

鐘が鳴らないのは、恐らくユーリが神々を封印したからだ。

一度封印してしまうと、彼女の力だけでは解除できない。

「何度も言うが、おまえのせいじゃないからな」

シャンクスは優しくそう言ってくれるが、ユーリの脳内は処理できない程のエラー音が鳴り響く。

シャンクスの異変、鳴らない鐘、失敗。

その言葉だけが、彼女の脳内を支配した。


















「…そうだな、もし気が済まないって言うなら、おれを忘れないでいてくれたら、それでいい」

ユーリが罪悪感という感情とはまた違うが、何かしらエラーが起きているのを察したシャンクス。

そんな彼女に囁かれる呪いの言葉。

ユーリの脳内には、シャンクスという存在が強く刻み込まれた。








シャンクスの歪んだ愛情が、彼女を縛り付ける。











「愛してるぜ、ユーリ」

シャンクスはユーリを引き寄せると、口づけをした。














その瞬間、彼の身体は赤い宝石となって砕け散った。



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