第1章 寝癖
=三成くんの夢の跡=
『おやすみなさい。夢でも私と、会ってくださいね』
一緒の布団で寝るようになってから、毎晩かけてくれる、優しい言葉。
夢は滅多に見ない私でも、今日は夢で会えたらいいなと思いながら、睡魔に身を委ねる――――。
「三成、聞いてるのか?」
「....っ!.....すみません....」
「ったく。最近、何かおかしいぞ?お前」
「あはは......気を付けます」
いつもなら軍義中に、ぼーっとしたり居眠りなんかしないのに、ここ最近、様子がおかしい。
「三成くん...寝られないの?」
「........実は....」
どんなに望んでも、夢にあなたが出てきてくれないのです。だから最近は、眠るのが嫌で.....。こっそりと、あなたの寝顔を眺めてました。
「....三成くん..」
あはは、と泣きそうに笑う三成くんの頭を、自分の胸に手繰り寄せる。まさか三成くんに腕枕する日が来るなんて、思っても見なかった。
「ちょ......え.....?」
「....寂しいなら、起こしてよ....」
三成くんの枕になってる右手で頭を撫でながら、左手で背中をポンポンする。
しばらくすると、三成くんの手が背中に回って、ぎゅっと浴衣を握ってきた。
「.......ありがとう...」
胸元が少し濡れてる気がしたけど、そのまま、三成くんを抱きしめて、いつの間にか眠ってしまった――――
おわり