第7章 秘密の花園/前編
「おうおう 兄ちゃん、こんな所に一体何の用だ?入り口はきっちり隠してあったんだがなぁ」
先頭にいた男が おどけた調子で話しかけて来た。
とりあえず無難に答えてみるか…
「ええっと… 景色の良い場所を探して森を彷徨っていたら偶然見つけてしまって。もしかして、ここはあなた達の?」
「いかにも。俺達の溜まり場だ」
横柄な態度で話す大柄な男の背後ではガラの悪そうな男たちが俺にガンを飛ばしている。
予感はあったものの、こんな神聖な場所が野盗の溜まり場だったなんてなんだかショックだな。
心でそう思いながら 淡々と口を開いた。
「そうでしたか。そうとは知らずに勝手に入ってしまってすみませんでした」
「ハッ、随分 律儀な兄ちゃんだな。だが、すみませんでしたですみゃ、ナントカは要らねぇって良く言うだろ」
「はぁ……」
「すっとぼけてねぇで、金目のもん全部置いて行け」
男が急に凄味をきかせる。
出た、お決まりのパターン。
でも…
「それはお断りします」
ひるむ事なくハッキリと断る。
「あ?何だと!?」
「なぜかと言うと俺、最近すごく可愛い彼女が出来て今度デートするんですけど自分から誘っておいて一銭も持ち合わせが無いなんて… しかも初デートなのに、そんなカッコ悪い話ってあります?」
「何ぶつぶつ言ってんだ!命が惜しければ言うとおりにしな!でないと… 分かってんだろ?」
ヘッヘッヘッと薄汚い笑みを浮かべる野盗たち。