第7章 秘密の花園/前編
「…!」
中に入ってすぐ、あまりに美しい光景に言葉を失う。
広さ的にはバスケットボールのコートくらいだろうか。
こじんまりした不思議な空間の中央にはコバルトブルー色の水をたたえた神秘的な泉が存在し、
泉の周りに立つ樹木の合間から太陽の光が差し、キラキラと反射していた。
「っ、これは… まさにジ●リの世界…ーー」
昔 観た『も●のけ姫』の森を彷彿とさせるような。
あの森のシーン、大好きだったんだよな。
ここに莉菜さんを連れて来られたら喜んでくれるかもしれない。
でも……
そう簡単には行かなさそうだ。
(ガサガサ)
背後で複数人が草を踏む音が聞こえる。
「!」
さっきくぐったトンネルから、ぞろぞろと身なりの汚い男達が入って来た。
…悪い予感が当たってしまった。