第1章 秘密のキスはアナタと ( 大神万理 ・2018生誕 )
❁❁❁ 愛聖 ❁❁❁
小「万理くん、相当驚いてたみたいだね」
嬉々として話す社長の言葉に、私は曖昧に頷いた。
『今更ではあるんですけど、凄く···私、罪悪感が···』
万理を騙すようなサプライズドラマとか、ちょっと···可哀想になってきた。
小「実は、僕もだよ。だから、せめて罪滅ぼしの為にって訳じゃないけど、いつも忙しく働いてくれてる万理くんのプレゼントに愛聖さんとの休暇を用意してみた」
『私も···ですか?』
小「うん、そうだよ。万理くんは絶対に自分1人だけ休むなんて!とか言い出すのは目に見えてるし、だったら同じように頑張って仕事してくれてる愛聖さんを、の~んびり温泉にでも連れて行ってあげて?とでも言えば、彼は納得すると思ってね」
社長···それ、私の承諾は必要ないんでしょうか?
小「一応キミは我社の看板女優だし、何かあったら困るから万理くんと部屋は同じだけど···お風呂と布団
は別々に入ってね?」
『っ···社長?!』
ハンドルを握りながら楽しそうに笑う社長に、私はそれ以上···何も言えなかった。
ドタバタサプライズの副賞が温泉旅行···
表向きの同行者は万理だけど。
実際は私が万理の同行者だなんて、みんなが知ったら大騒ぎになるんじゃ?
想定外の秘密を社長と抱える事になった私は、殊更このサプライズドラマの荷が重く感じられた。