第1章 秘密のキスはアナタと ( 大神万理 ・2018生誕 )
どっちにしても、タチの悪いドッキリだ。
俺は···愛聖のご両親の墓前で土下座する覚悟までして来たんだぞ?
それから、愛聖が小鳥遊プロダクションに移籍するまで育てた八乙女社長にも挨拶しなきゃとか、いろいろ考えたのに。
それこそ、怒鳴られて···殴られる覚悟で。
「愛聖、一応聞いとくけど···千と一生、添い遂げる自信はある?」
『えっ?!···千と?』
「だって、千がそういう気持ちなら愛聖も返事はしなきゃだろ?」
『えっ···と···どうだろ』
千「そこ、悩むの?」
誰だって悩むと思うよ、千。
迷わず悩まず即答するのは、百くんぐらいだろ。
とりあえず、スケールの大きいドッキリだって事は分かったし。
ここは少しだけ、お返ししておこうかな。
「どうなの?愛聖がいいんだったら、俺はもうにも言わないし、後のことは愛聖の事も、他のことも···全部、千に任せちゃうけど、いい?」
『あ、えっと···だから···』
うんうん、困ってる困ってる。
「千はトップアイドルで今を走り抜けてるから経済的にも安定してるし、俺よりも数段稼げてるし?もしアイドル辞めたとしても愛聖が仕事続けていたらヒモになった千を養えばいい、と思うけど」
『ヒモ···?』
千「僕だって、もしRe:vale辞めても働けるけど」
いや、ムリだって。
そもそもRe:vale辞めるなよ···百くん号泣するぞ。
「千、前にも言ったけど···俺は会社勤め出来るけど、お前は音楽辞めたらヒモになるしかないんだよ?わがままだし、ひねくれてるし···それでも愛聖の未来を背負える?」
不貞腐れる千と、困惑する愛聖を見て···そろそろ俺にバレてることをネタばらししてあげようかなと小さく笑う。
「愛聖、千。それからそこで笑いを堪えてる大和くん···もう、いろいろバレてるから」
小「え?バレてたの?···万理くん、察するの早いねぇ···」
「社長まで一緒に何してるんですか。でも、正直俺は途中まで本気でびっくりしましたけどね。もうちょっと気付くのが遅かったら、八乙女プロダクションまで向かうところでしたから」