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月と太陽

第2章 *二ノ章*


その後、音也の仕事場に着いた。
美風さんの案内で静かに中を窺うと、凄く真剣で楽しそうな音也がいた。
なんだか周りの空気がきらきらと光ってるように見えた。

「これが撮影の現場。感想は?」
「……おと君がこの仕事が大好きで、誇りを持ってて、真剣だってよく分かる」

そして音也が目標としていた『皆を笑顔にする』が達成できていると思う。

「おと君がこの仕事をやってて正解だと思う」
「確かにオトヤには素質がある。だけど――」
「うん。まだ成長段階だし、未熟な部分も多い。だけど磨けば必ず光ると思う」

つい無意識に言葉を続けてしまった私はハッと我に戻り、美風さんの顔を窺った。
特に親しいわけでもない私が生意気な事を言って怒っているかもしれない。
だけど、私の心配とは裏腹に微かに笑っていた。気がする。

「あの……」
「君は観察していても飽きないね。それに比較的いいところに目をつけている」

美風さんの目は興味深いものを見つけたかのようだった。
いや、実際にそうなのだろう。
変なことを言ってる私を彼は面白いと感じたのだろうか。

今までそんな人がいなかったからか、自分を認めてくれた気がした。
少し、私の中で何かが変わってきた――。
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