第2章 甘蜜
その後、風呂場を出て乱歩にお姫様抱っこで部屋まで連れてこられ、ベッドの上にそっと座らされたあと渡されたミネラルウォーターをごくごくと飲んでから美雪は口を開いた。
美雪「乱歩さんとの赤ちゃん……できるかな……」
乱歩「さぁね。よほど相性が良くない限り直ぐにはできないと思うよ。これから毎日種付けセックスだねぇ」
美雪「ブッ!!なっ、なんてこと言うんですか乱歩さん!!その顔で!せめて子作りと言ってください!」
乱歩「はいはい。とりあえず水飲んだなら寝なよ。流石に二回戦はキツかったと思うし。……久しぶりだったし?」
乱歩におでこをツンと押されて、ボフンとベッドに倒れ込んだ。ああ、デコピンだけで倒れるなんて相当疲れたんだなぁ私。
乱歩「ねぇ美雪。本当に僕との赤ちゃん欲しい?」
美雪「……へ?どういう、意味……ですか?」
乱歩「そのまんまの意味だよ。今のこの時代、そしてこの仕事。武装探偵社だっていつまでも平穏無事とはいかないだろうしさ。どっちかが死ぬか……もしくはどっちも死ぬ可能性だって高いわけで。そんな時……子どもがいて負担にならないかとか、子どもが幸せに生きていけるか……とか柄にもなく考えちゃうんだよねぇ」
乱歩は体育座りで膝に顔を埋めている。
美雪は乱歩の裾をクイッと引っ張った。
美雪「本当に、柄にもないですね。」
乱歩「……うん。」
美雪「乱歩さんの座右の銘は何でしたっけ?」
乱歩「僕が良ければ全て良し」
美雪「なら、私に赤ちゃん産んでくれって言ったのは、乱歩さんにとって良いことでは無かったと?」
乱歩「そんなわけない!」
乱歩はガバッと顔を上げると、美雪の方を見る。
目が合うと、美雪はにこっと微笑んだ。
美雪「どうせ、生きとし生けるものは、全ていつかは死ぬんです。それなら、今を大切に生きませんか?今が最悪な世の中なら、未来を幸せな世に変えませんか?できると思うんです。私たち武装探偵社なら、それが。そして、その幸せな未来を、乱歩さんと、私と、そして乱歩さんとの子どもと。一緒に生きていけたら、きっと凄く素敵だと思うんです。」