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【ヒロアカ】アイアム!【オメガバ】

第32章 I am making my mind




「う…そだ…」

言葉を失う轟の隣で、緑谷が呻いた。
頭ではわかっていたはずだった。
だが、本人を目の前にして、また「信じたくない」という気持ちがブクブクと生まれ始める。

あの時の笑顔、笑い声、そんなものが冷徹な少女の顔に重なって、揺らぐ


「嘘だ! だってキミ! キミは!!」

『うるさいなぁ……』
「!」



 女は緑谷の絶叫を冷たくあしらい、髪を手櫛でといた。

風に舞う焦がしキャラメル色

その首元に見えたのは、死柄木と同じ、手のモチーフの首枷だ。




その冷酷な態度、死柄木とお揃いのコスチューム

「決まりだな」


ただ低いだけの相澤の呟きにも、
聞こえているはずの幼い二人は

動かない

動けない






「う、そだ…だって君は、あんなにッ
かっちゃんの事を想っていたじゃないかッ!
あれも、全て! 嘘だって言うのか!!」



「くるみ、嘘だろ!
嘘だって言ってくれ!!」

轟も、縋り泣くように叫ぶが、まるで両者のあいだに、分厚い見えない壁があるかのように
くるみは涼しい顔のままアクビをした。




「……作戦変更だ」塚内が片手を上げて指揮をとる。


「何かの間違いだ!」


叫ぶ声など無視して、ヒーロー達が構える。


「だってキミはかっちゃんの事を…」
「うっせぇな…クソデクが」



一瞬の静寂を作り出した…間違いなく耳に慣れ親しんだ声

例え辛辣な言葉ばかりでも
子供の時からずっと聞き続けていた幼馴染の声。

緑谷は呆気にとられた。
目を丸くした。
確かに自分は、彼を助けに来たが、呼んだつもりはない。


風も止んだ消えかけの空を背景に、新たに壇上に上がったのは……




















黒いブーツ、黒いダボついたズボン、黒いトップスに、両手にぶら下がる真っ黒な篭手……











全身を真っ黒に染めた爆豪の姿だった。







いつの間にか、太陽は音もたてず

地平線の向こうに沈んでいた。


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