第14章 I am lonely
「来なかったな」
『…うん』
とぼとぼ歩くくるみの歩幅は小さく、半分泣きそうな顔を俯いて隠して居る。
『…楽しみにしてたんだけどなぁ』
俺は、無理をして笑おうとするくるみの頬にそっと手を重ねた。
「笑わなくていい…無理すんな」
『ん…ありがとう』
あっという間についた駅には、ほとんど人がいなかった。
「もう暗い、送る」
『家逆方向でしょ?いいよ。
大丈夫。』
「送りてぇ……」
『……でも、少し一人で考え事したいから…ごめん、ありがとう。心配してくれて』
また笑うくるみに、キュッと心臓を握られた気がした。
やっぱりまだ、俺じゃダメだと言われたみてぇで辛くなったが
くるみと別れて、俺も帰宅することにした。
爆豪が来なくて、くるみは相当辛かったようだ。
どんどん暗くなっていく表情が痛ましかったが、目の前の【運命】に気付かねぇ罰なのかもしれねぇな。
電車に乗りこんでいくくるみを見つめる。
周りの男が、くるみを凝視していて、やっぱり送ればよかったと後悔した。
今日は特に、フェロモンが強く香ってたからな…
くるみに【帰ったら連絡しろ】と打ち込んで。
スマホを手に握りしめた。