第8章 冬に半袖は風邪を引く トド松 途中からトド松side
「トド松しかスマホ持ってなかったし・・・」
っておーい!!!そこかー!ぼくの利用価値そこー?!
いや、利用されてるとか思ってないけど、そこは言わないで欲しかったなぁっ
トド松しか頼れなくて~とか言ってくれれば少しは可愛気があったのになぁ、もう!!
「へぇ、そう」
一瞬でテンションがガタ落ちだ。
立ち上がるとキッチンから適当なコップに水を汲み薬を取り出すが、薬って空きっ腹にはよくないんだっけ?
薬の箱を見ると、食後と書いてある。
そのまま飲んで胃でも悪くしたら可哀想だから、持ってきた缶詰を開ける事にしまたキッチンへと向かった。
「トド松・・・?」
声がわりかし近くから聞こえると思って振り向くと、布団から出て四つん這いになりながらこちらを覗くナス子姉の姿が。
「いや怖いから。てかなんで布団から出た、立ち上がれないほどダルいんなら寝てなよ。別に変なことしないからぁ」
なんかペットに餌でもあげる気分になってきた。
これが一松兄さんなら絶対そう思うはずだ。
桃の入っている缶詰をあけると手頃な皿にうつし、フォークを突き刺し姉さんの元へと持っていく。
「なにしてるのか気になる・・・」
「桃缶開けてただけだよ。ほらほら、布団戻んな。もー、こんな散らかった家で何も出来ないでしょ?服も下着も出しっぱなしだしっ」
「ハッ!見た?」
照れる様子もなく普通に聞いてくる様が、まるで本当の弟にでも接してくるような態度だ。
別にいいけどさ・・・。
この前の合コンの時はちょこ━━━━(以下略)っとでも可愛いと思ったんだけど、あれやっぱり気のせいだわ。
「見たっていうかあれは見えるでしょ、誰か来たら普通に目がつく場所だと思うけど?色気も可愛くもない下着だし?僕は別になんとも思ったりしないけどさ」
「また言われた・・・」
姉さんがポツリと言う。なんの事だろう?
「なにが?」
「私は君ら六つ子達に何度、なんとも思わないと言われつづけなければならないのかと・・・」
「はぁ?なんとか思われたいわけ?」
「いちいち言わなくていいって言ってんだよっ!あぁ、大声だしたら頭痛がぁ」