第5章 平穏な日々に嵐はやってくる~十四松
「姉さんお疲れっスか!」
「ちょっとだけね~」
温かい日差しに目を瞑ると、斜めの地面にころりと横たわる。
すると、十四松も私の真似をするようにころりと仰向けになる。
横になったまま目が合い、2人してふふっと笑ってしまう。
「いい天気だね~真冬だけど、風もないしこの時間はあったかいね~」
「そっスね!」
「あ~~寝ちゃいそう・・・寝ちゃいたい・・・」
一生懸命目を閉じるのを我慢していると、十四松がつんくつんくと肩をつついてくる。
「ん・・・?」
「姉さん! 枕ほしくない?」
「え?急に? 枕?いや、別に家にあるし、困ってないけど・・・」
私がそう言うと、十四松は自分の腕をもう片方の手で指差し、「これこれ」と言っている。
私は訳がわからず訝しげに首を傾ける。
「うで枕!!」
「へ?! い、いやいやいいよ大丈夫!!」
「遠慮しないで! よいっしょーーーーー!!」
「ぎゃっ!」
半ば強引にグキっと首を腕の上に置かれた。
首が!!筋違ったら困る!!
仕事に響くので、仕方なく自分から無理のない体制に居直す。
そしたら結構、スゴク密着する感じになってしまった。
「どうスか姉さん!!」
「あ、え、え~~と・・・うで枕だね・・・」
「そのままだね!!!」
うで枕してもらったのなんてお母さん以来なんじゃないの?!
てか何この展開?!どういうこと?!なんで私十四松にうで枕してもらってんの??
イケメン?イケメンなの????いや十四松は別にイケメンじゃないよね。
うで枕ってイケメンにだけ許された行為なんじゃないの?違うか、いや落ち着け私。
状況を頭が理解するとなんだか恥ずかしくなってくるもので、そんな自分を誤魔化すようにぶんぶんと首を振る。