第1章 YOURNAME【明智光秀】 【R18】
情事の後、一通りの後処理を済ませて、いつも通り腕枕をしてやるとすぐに桔梗は眠ってしまった。
≪明日からはもうこの娘に会うこともないのだろうな……≫
ついさきほど自分の気持ちに気づいたものの、もはやそれは後の祭りだ。
いや、後の祭りにもならない。そもそもこのようにして会ってしまった以上、“それ以上”は始めから見込めない関係なのだから……。
それに夜が明けたら、彼女は“桔梗”ではなく……彼女本来の名前で新しい人生の一歩を踏み出すのだから。
だが……朝までこの顔を見ているぐらいはいいだろう。
無防備に眠っている桔梗の顔を目を細めて眺めながら髪を撫でてやる。
≪そろそろ俺も、眠りにつくか……≫
「さひでさ……すき……」
ん?……今何と言った?………
十中八九寝言だからあてにはならないだろう……そもそも自分にも睡魔が襲っているからな……
そう自分に言い聞かせながら、眠りについた。
≪せめて……幸せになれ。≫
そう願いながら……。