第20章 ※アイツと私の特別な休日
────────────
─────────
……どうやら私は、そのまま眠ってしまったらしい。
私の意識を引き戻したのは、穏やかに私の頭を撫でる感触だった。
そっと、壊れ物でも扱うかのような、触れ方。
その心地良さに、またウトウトと眠気の波に流されそうになるくらいだ。
……喉、乾いた。
重い瞼を持ち上げて、ぼんやりとした視界の中に入るのは、ジャンの顔。
その表情が、なんだかとても、優しい。
「……起こしちまったか?」
「ううん……」
微かに呟くと、ジャンは私の前髪を優しく払って、唇を付けた。
それがちょっとくすぐったくて、私は小さく身をよじる。
「日付も変わってねぇし、飯の途中だったから……食うか。まだ余ってっし。」
「んー……喉、乾いた……」
「だろうな。最後、声掠れてたし。」
頭を撫でられるのがあまりにも心地良くて、また落ち着き始めていた頭が、一瞬で覚醒する。
「……ッ、そういうの、やめてくれない?」
「あ、起きたか。」
「起きるわよ、嫌でも。」
軽く睨んでやるけれど、ジャンは全く動じた様子もなく、私の頭を撫で続けている。
「……ちょっと、」
「ん、どうした?」
「頭……なんか、恥ずかしい。」
この甘ったるい空気は、正気を取り戻してきた私にとっては、居心地が悪い。
妙にソワソワして落ち着かない気分なのに、全てゆだねたくなるくらい、気持ちいい感覚もあって。
自分でも説明がつかないけれど、とにかく恥ずかしい。
なのに、ジャンはやめようとしなかった。
「何が恥ずかしいんだよ。」
「だって……頭撫でられるなんて……子供の頃みたい。」
「はぁー……なるほど、な。」
そう言うと、ジャンはぐっと私を引き寄せた。
目の前には、ジャンの胸板。
抱き抱えられたまま、そっと後頭部を撫でられている状態になってしまう。
「や、ちょっと……、」