第20章 ※アイツと私の特別な休日
「そぅ、目〜。……なんかねぇ、食われそう。って、言うか……ゾクゾクする、みたいな?さっきは違ったもん。」
どうだ、とばかりに言い切った私に、ジャンは頭をガシガシと掻き乱した。
「お前……なぁ、」
少し弱ったような声色に、私はにこにこしながら飲み物を手にした。
少しだけ買ってきた、ヤギのミルク。
あぁ、お水とは違う美味しさ。
そして勝利の味がして、美味い。
初めてジャンをやり込める事が出来た喜びに浸れたのは、僅か一分くらいのものだっただろうか。
私の手から素早くグラスを奪ったジャンは、そのまま私をベッドに押し付けた。
「え、ちょッ……何?!」
「その顔、誘ってんのか?」
「は?? 何言っ……、」
何言ってるの、馬鹿じゃないの?
その言葉は半分、ジャンの唇に飲み込まれていった。
深いキスに、酸素が足りなくなりそうだ。
クチュリと水音を立てて絡まる舌に、ジリジリと頭が痺れていく。
薄目で見たジャンの顔は、熱を帯びていて。
何故か胸が熱くなる。
私はクラクラしながらも、これは普段と違う食事のせいなんだとすり替えるように努力した。
ジャンの薄い唇がやっと離れた、そう思った瞬間に、ジャンの指は私の服の中へと侵入を始めていた。
「ちょ、アンタ、何やってんの?!」
「今のは美咲が悪い。」
「何それっ!!」
くすり。
笑ったジャン。
その笑顔は……さっきのおふざけとは違う。
危険なときの方、だ。
「俺の顔……思い出したんだろ、あの時の?」
「っ、それがなによ……!」
いつの間にか形成逆転されている。
そう自覚するより先に、ジャンは私の肌を、するりと撫でた。
「ッ……な、何なの……?」
流されそうになる、この感覚。
必死に耐えながら訴えると、目の前の綺麗な顔をした男が、笑った。