第20章 ※アイツと私の特別な休日
今日は久しぶりの午前からの休みだったから、ゆっくりするはずだったんだ。
有り難い事に、普段の御礼だと言うハンジさんから頼まれて買ったパンを食べながら。
いつの間にか部屋にはジャンが持って来たと思われる、食堂のスープが二人分あった事には感謝かも。
いつもは質素な食堂のコッペパンだけだけど……
「なんか、並べると豪華だな。」
「確かにね……いつも夜はスープ飲まないし、パンだって種類たくさんあるし。」
そう言いながら、いつも二人で使うグラスで乾杯した。
分けたサンドを一口齧って、呟く。
「あー。いいな、これ。中の野菜がシャキシャキしてるやつ。」
「分かる。コロネもいいよな。」
「いいねー!」
本当、こういうところは気が合うのよね。
そう思いながら食事を進めた。
サンドを食べ終え、手を出して二人分に分けてからジャンに手渡したコロネも、既にもう小さい。
普段より甘い香りの漂う口の中をモグモグと動かしながら、ぼんやりと私は呟いた。
「……なんでここに、ジャンがいるのかなぁ……?」
「あ?何言ってんだ、今更。」
「いや、だってさぁ……、」
あまりに馴染まれると、ふとした瞬間に、凄く嫌な気分になるんだ。
考えたくなくて箱にしまって心の奥へと閉じ込めた、あの面倒な問題の蓋が、そっと開いていくような。
うーん、と考える私に、ジャンは笑った。
「つーかさ、お前のこの部屋、居心地いいんだよ。それに、一人で食うより、誰かと食う方が楽しくねぇか?」
そんな風に思ってたんだ、ジャンは。
私は少し考えて、返事を返す。
「楽しい……けど、」
「けど、って何だよお前。いいじゃねぇか、楽しいならそれで。」
「……そぅ、なのかなぁ?」
再び、うーん、と首を捻った私に、ジャンが呆れ顔で言った。