第19章 ※特別な休みはお前のせい?
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一時間にも満たない眠りから覚めたのか、僅かに目を瞬いた美咲。
その顔を覗き込んで、そっと訪ねてみる。
「……起こしちまったか?」
「…んん。」
小さく首を横に振った美咲が可愛くて、思わず手を伸ばす。
前髪を払い、そっと口付けた。
くすぐったいのか、彼女は小さく身をよじる。
拒否されなかった事に安堵し、俺は美咲に提案した。
「日付も変わってねぇし、飯の途中だったから……食うか。まだ余ってっし。」
「んー……喉、乾いた……」
ぼんやり答える美咲の声はかさついていた。
落ち掛けた瞼をなんとか持ち上げようとしながらも、また布団にすり寄った美咲の頭をするりと撫でる。
「だろうな。最後、声掠れてたし。」
そう言ってやると、途端に美咲の目はパチっと開いた。
「……ッ、そういうの、やめてくれない?」
埋もれていた布団から顔を上げ、俺を睨んでくる。
さっきまでのまどろみは、どこに行っちまったんだか。
「あ、起きたか。」
「起きるわよ、嫌でも。」
首を傾げてその顔を見ると、また嫌そうに頬を引攣らせて俺を見つめてきた。
……んな顔したって無駄だっつーの。
こうやってお前を抱き締めていられる安心感の方が勝るんだよ、俺は。
腕の中に閉じ込めた柔らかい温もり。
そして、なめらかな髪の手触りが、俺の心に小さな幸福の光を灯す。
好き放題に頭を撫でていたら、美咲がもぞもぞと身をよじった。