第15章 ※隠したウソを暴くアイツ
「え、えっと……、」
「正直に言えよ?嘘なんか、すぐにバレるんだからよぉ。」
「ッ……う、そなんか……。」
「さっき吐いたばっかだろ、バカ。」
「…………。」
反論の余地がない。
部屋にいたと言う嘘は、瞬殺と言ってもいい程のスピードで見破られたのだから。
私が一人で出歩かない事は、多分……
ジャンは知っている。
御飯も、食堂を使うのは朝食くらいだし。
ぐるぐる回る頭でどうにか思案し、私は覚悟を決めて、口を開いた。
「……サ、サシャと……バッタリ会って。」
「へぇ。どこで?」
「兵舎の、門のあたり。」
「ふーん?」
大丈夫、大丈夫。
この前、空いた時間に見に行った壁の工事の様子じゃ、多分女の子が出来る仕事は限られているから。
それに、サシャは御飯にありつけるのが早いから、早目に終わらせて帰って来てる……はず。
それに、さすがにサシャの行動までジャンが把握してはいないだろう。
女子寮と男子寮は違うし。
って言うか、ああもう、心臓に悪い。
こんな拷問みたいな時間、早く終わってくれないかな。
そんな事を考えていたら、ジャンが言った。
「……リヴァイ兵長。」
「ッ!!」
その一言で、心臓が大きく跳ねる。
私の様子を、注意深く探っているジャンが、身体ごとこちらを向く気配がした。
「一緒だったんじゃねぇのか?……あの日、サシャは壁の上にいた。」
言い当てられた事実。
動揺を隠そうとする私と、暴こうとするジャン。
強い雨音しか聞こえない静かな空間に、緊迫した空気が流れていた。
何で……
よりによって、いつも帰るのが早いサシャが……。
探るような目付きを止めないジャンが、徐々に距離を詰めてくる。
「なぁ、美咲。」
「な、何……?」
「お前、誤魔化せると、思ったのか?」
いつの間にかジャンの顔と、甘い声が、至近距離まで迫っていた。
私の心を見透かすような言葉と一緒に、揺さぶりを掛けてくる。
生きた心地がしないって、こういうこと?