第14章 ※お前のウソはダレのせい？

強気の姿勢を崩さないクセに、声色は揺れている。



俺が、怖いか？

でも、やめてやんねぇよ。



愛しくて、悔しくて、苦しくて。

俺は目を細め、その瞳に問い掛けた。



「本当は、どこ行ってた？……リヴァイ兵長と。」

「ッ……！」



美咲が、ぐっと、何かを飲み込んだのが、分かった。

この体勢に持ち込んだ後でさえ、頑なに抵抗をやめない美咲が、歯がゆい。



リヴァイ兵長と、一緒だったのはもう明白なんだよ。

今更何を躊躇する事がある？



言わねぇのは、ただ戸惑っているからか？

それとも……

言えねぇような、場所に行ったのか？



この可愛くて、愛しい目の前のコイツに、俺以外の誰かが触れたのか？



……想像しただけで、おかしくなっちまいそうだ。



思考とは裏腹に、笑みは深くなっていく。

きっと俺は今、酷い顔をしているだろう。



強い姿勢を崩さない彼女に、呆れたように息を吐きながら呟いた。



「だから。嘘吐くな、つったのに……。」

「な、何で……んッ！」



反論しようとしているのを無視し、力強く押し返して、彼女の唇を奪う。



反射的だろうか。

背中に回った腕に気を良くし、深く、深く口付ける。



逃げ回る舌を絡めとり、奪うように。

お前の、全てを。



クチュ。

水音がして、銀色の糸が引くと同時に離れた俺は、額同士をくっ付けて、囁いた。



「……こいつは、お仕置き、だな。」

「はっ？！」



素っ頓狂な声を出した彼女を、鋭い目で睨み付けて、吐き捨てる。



「せいぜい、後悔してろ。」



瞬間。
美咲は声を飲み込んだ。

抗えないと、悟ったんだろうか。



強張ってしまったままの唇に、せめてもの断罪として、優しく、戯れるだけのキスを落として、俺は彼女に覆い被さった。