第14章 ※お前のウソはダレのせい?
……けど。
「……で?」
「ん?」
「お前はあの夜、誰と街に出たんだ?」
俺の言葉に、美咲は声にならない声を上げた。
すっかり油断していたんだろう。
お前が一人で街を出歩く事がないと、俺は知っているし、多分その俺の真意にも、コイツは気付いている。
俺の言葉に、彼女は慌ただしく視線を彷徨わせる。
……逃すわけ、ねぇだろ。
最後まで追求してやる。その気持ちは揺るがなかった。
美咲が逃げたがっている事に気付いても。
そしてもちろん、俺が言える立場じゃない事を理解していても。
それでも、どうしても踏み込みたい。
どうせならもう、ハッキリと、俺の予想との答え合わせをしてしまいたいものだ。
相変わらず自分勝手な思考で美咲に詰め寄る俺に、彼女は抵抗しながらも、渋々と言った様子で答えた。
「……サ、サシャと……バッタリ会って。」
「へぇ。どこで?」
「兵舎の、門のあたり。」
「ふーん。」
その言葉に、また胸の奥がジクジクと痛む。
本当に、お前はバカだ。
そんな嘘、俺があっさり信じるわけねぇだろ。
サシャはあの日、壁の上にいた。
まぁでも、仮にそれが本当なら、お前はもっと早い段階で明かしていたはずだ。
しどろもどろになる必要も、ない。
……何も隠す事なく、いられたはずだ。
お前の口が、これだけ重いのには、他に理由があるんだろ?
それを言いたくねぇから、そんな見え透いた嘘を吐いてまで、足掻いてるんだろ?
もう分かりきっている答えを。
出来る事なら導き出したくない答えを。
お前はまだ隠すつもりか?
あぁ、クソッ。
お前が言わねぇんなら、俺が言ってやるよ。