第13章 私の誤解と憧れのあの人
団長室からの長い廊下を真っ直ぐに進み、角を曲がろうとした。
その瞬間。
「……待て!」
バタバタと近付いてくる足音と共に、私を止める声が響いた。
信じられない声の主。
ゆっくりと、後ろを振り返る。
「……いや、……。」
団長室に残ったままだったリヴァイ兵長が、そこにいて。
困ったように、眉を寄せ、私を見つめていた。
言葉もなく、私はただじっと、その姿を見つめ返した。
驚きを隠せなくて。
幻覚じゃない事を祈りながら。
「……宿舎に戻るのか?」
「……はい。」
「明日は、休みだな。」
「……はい。」
「なら……。」
私の掠れた返事の続きを、すぐに紡いでくれるリヴァイ兵長。
リヴァイ兵長の私を見つめる視線が、強くなったような気がして、私はただその続きを待った。
少しの迷いを含んだ後、決心したように放たれた言葉は。
「……飯でも…、食いに行かねぇか?」
私の心を、ひどく揺らした。