第13章 私の誤解と憧れのあの人
辺りはもう真っ暗だけど、
私はウキウキしていた。
何故なら明日が休みだから。
早く部屋でゴロゴロしたいなぁ。
ストレッチもしたいし、最近はお風呂もザッと洗うだけで、ゆっくり浸かってないから、少しだけ長風呂したい。
なんて思いながら団長室の方に歩いていると「美咲。」と私を呼ぶ声が、静かな廊下に響いた。
団長室の扉は元々空いていたらしく、中から出て来た人を見た瞬間。
「……え?!」
あまりの衝撃に、口の中で小さく、けれどハッキリと呟いてしまった。
「悪いな。こんな時間に。」
そう言って近付いてくるのは、リヴァイ兵長、で……。
心の準備をしていなかった私は、呆然と立ち尽くしていた。
リヴァイ兵長は柔らかい顔をしたけど、私はそれを真っ直ぐ見る事が出来ず、俯いた。
「あ、の……エルヴィン団長は……?」
「あぁ。あいつは腕なくして今日みてぇに調子が悪い時があるから、俺が残った。」
「そう……です、か……。」
弱々しく声になったが、何とか相槌を打つ事が出来た。
リヴァイ兵長に促されて、エルヴィン団長が不在の団長室へと向かい、リヴァイ兵長と真正面で座る。
冷静に、なんて……
なれない……
だって、何の準備もしてなかったんだから。
まさか、こんな風にリヴァイ兵長と二人になってしまうなんて、想像さえしていなかった。
エルヴィン団長の団長室に行けば、もしかしたら、なんて、そんな当たり前な事さえ、考えていなかった。
本当に、本当の、不意打ち。
ドキドキするというより、変な汗が背中を伝いそうな、緊張感だ。
それを必死に隠しながら、リヴァイ兵長に資料を渡す。
「確認する」と言ったリヴァイ兵長は、その言葉通りに資料に目を通した。