第12章 ヒトリの夜は誰のせい?
────────────────
─────────
「じゃ、お先に。」
そう言った俺に、エレンを抱えているアルミンとミカサが、「お疲れ様」と声を返してくれた。
予定より少しだけ時間が掛かったが、壁の工事は順調なのだから喜ぶ事ではあるわけで、まぁ別にこの誤差も範囲内だ。
コニーには食堂で飯は食わないと伝えているから、あとはもう美咲の部屋にテキトーになんか持って行くだけ。
トリガーを引き、立体起動装置で移動する俺の頬に、冷たい風が触れる。
今日は少し冷えるな。
なんて思うが、心は暖かかった。
待ち焦がれた美咲との夜は、もうすぐそこだ。
美咲の部屋。
あの心地いい空間。
二人で食うと途端に美味くなる、普段は味気ねぇ飯。
なんでもねぇ会話。
思い返せば思い返す程、美咲への気持ちは強くなる。
あー。
スゲェ会いてぇ。
早く、触れたい。
ニヤニヤしそうになるのを堪え、宿舎の近くで着地し、少し前のめりで歩く。
後から思えば、久しぶりに訪れた美咲との時間に、浮足立っていたんだろう。
ほとんど何も考えずに、彼女の部屋に向かっていた。