第11章 距離が縮まるアイツとあの人
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翌日。
スッキリと目覚めた私の部屋に、もうジャンの姿はなかった。
欠伸をしながら兵団服に着替え、朝食を済ませ、昨日だいぶ片付いたからジャンの顔でも見に行ってみようと、トロスト区城壁へと向かう。
壁の上を立体起動装置を使って登り、辺りをキョロキョロと見回すと。
ジャンは既に作業に取り掛かっていて、丸太にロープを括り付けていた。
邪魔しちゃ悪いかな。と、近くにいたコニーにだけ挨拶を交わした私と、ジャンの視線がぶつかる。
ジャンは、一旦作業を止めてこちらに歩いてきて。
「よう。ゆっくり寝たか?」
「……おかげさまで。」
「ん。なら良かった。」
柔らかく笑った。
隣で、「何の事だ?」と疑問を浮かべるコニーには、話せない。
二人だけの、昨日の事。
ジャンも、コニーを気にする素ぶりを見せず、壁の下を見に歩いていった。
ジャンが作業していた場所には、いくつもの丸太とロープ。
……結び方の強度が違う。さすが男の子だな。
妙に感心して、私も何か出来ないかとコニーに尋ねる。
体力的な仕事は出来ないけど、私にも出来る事があるだろうし。
私は機材の上げ下げをしている兵士と替わり、作業に取り掛かった。