第11章 距離が縮まるアイツとあの人
私の質問に、「んー。」と少しだけ考える素ぶりを見せた彼。
コクリ。
手元のグラスからお水を飲んで、私に向き直った。
「なーんか、大変そうだったからなぁ。ハンジさんの手伝いなんかよぉ。任務中に聞いてもお前、絶対に弱音なんか吐かねぇだろ。」
そう言って、わしわしと、私の頭を乱した。
その表情は、ちょっと悪戯っぽくて、でも凄く優しくて……
どうしていいのか、分からなくなる、くらい。
「……ありがと。」
自然と溢れた感謝の言葉に、ジャンは一瞬驚いた顔を見せた。
けど、すぐにまた、笑ってくれた。
私は……
ずっと、みんなと同じように、動きたかった。
ヒストリアとエレンが危ない時に、助けに行きたかった。
みんなだけが前に進んでいるのに、一人だけ置いていかれているような気がして、怖かった。
誰かに頼られたかった。
……誰かを、頼りたかった。
ジャンの、その柔らかい笑みが、ずっと抱えていた胸のトゲを、融かしてくれた気が、した。