第11章 距離が縮まるアイツとあの人
悔しいけど、ジャンの言う通り、だ。
疲れてる。
お腹も空いてる。
でも部屋から出たくないし。
早く寝たい。
けど、誰かに……
話しを聞いて欲しい。
あまりにも優しい不意打ちに、危うく涙が出そうになった。
それに気付かれたくなくて、唇を噛み締めて小さく頷き、ジャンの手から逃れる。
引かれた椅子に座ると、ジャンはちょうど、私の真後ろのベッドに腰を下ろした。
ジャンの持ってきたオムレツは、ふわふわしてて、あったかくて、懐かしい味がして。
配給にはこんな料理出て来ないし、不思議に思って。
ジャンが作ってくれたのかな。なんて、ぐるぐる考えて。
涙が出そうになるのを堪えるので、必死になって。
ジャンが、顔が見えない位置に座ってくれて、良かった。と、思った。
絶対に、私、酷い顔してる。
少しだけ咳をして、思わず溢れてしまった涙を、気付かれないように拭った。