第8章 秋は夕暮れ②
それは、どういう意味だろう、、、?
沙織の胸は再び騒ついた。
「ごめんね、もう最後だと思うから正直に話すんだけど、初めて香田さんを見た時、、、この子大丈夫!?って思ったんだよね笑」
眉毛をハの字に曲げて申し訳なさそうに彼女は言った。
「金髪だし、なんか睨んでて怖いし、店長にはよく突っかかってるし、、、」
「あー、はは、すみません。ですよね」
正直すぎない!?
と思ったものの沙織は笑った。
そう思われても仕方ない、
思い当たる節ならたくさんあったからだ。
「あの子には接客なんて無理ですよ!何か問題を起こす前に辞めさせた方がいい!って言った人もいたくらい!でもね。店長はずーっと、あの子は大丈夫だからって。あの顔で笑って皆のコトをなだめてた。誰が何を言っても聞かなかったの。それで辞めちゃった人もいたんだけど、、、」
「え、、、?」
そんなこと知らなかった。
沙織は呆然とした。
私のせいで巧は責められていた?
私のせいで辞めた人がいた?
それどころか沙織は、自分が周りからそんな風に言われていたことすら知らなかった。
今なら分かる。
仲間が辞めるとどれだけ大変か。
どれだけの不満が店長に集まるのか。
それも、こんな、、、働いたこともない、態度も悪い、そんなただの女子高生を守ったせいで、、、
慣れた人が辞めていったのだ。
その時の巧の立場の危うさが今の沙織には容易に想像できた。
なのにあの時、、、はそういう関係でもなかったとはいえ、これまでも巧はそんなことを沙織に言わなかった。おくびにも態度に出したりもしなかった。
「、、、、」
沙織は思い出していた。
そんなこととはつゆ知らず、文句ばっかり言っては巧に当たっていたあの時の自分と巧のことを。
巧はいつも笑ってた、、、。